「パティシエが行く」〜旬素材を求めて農園へ〜

Vol.09

Su-ume

個性いろいろ。鏡野特産の酢梅

可愛らしい赤や黄色の実がなる幻の果樹

鏡野町の北部に位置し、雄峰・那岐山に抱かれた大自然が広がる上斎原地区。県立森林公園やキャンプ場、スキー場などが点在するこの地に、地元の人だけが知る幻の果実があるのをご存知ですか? それは、古くからこの地域で「酢梅」と呼ばれているバラ科の植物で、リンゴのような味や香りのある果物のこと。「『酢梅』というのは総称のようなもので、皮や実の色、熟す時期によって5種類ぐらいの品種があるのではないか」と語るのは、酢梅の植林地を管理している岡山県立森林公園アドバイザー・藤木精二さん。

生育条件をあまり選ばない丈夫な性質で、真夏においしい実がなることから上斎原では古くから家庭で植えられてきたのだといいます。藤木さんが仲間と「酢梅」の植生地の管理を始めたのは、1990年のことです。「何とか鏡野町の特産物にできないか」と、スキー場のゲレンデ跡地に、各家庭で植えられていた酢梅の木を挿し木用に集めて約80本を移植。有志で管理をしてきました。「土壌を選ばず、収穫にも比較的手間がいらない。これなら新しい鏡野町の特産品としてPRできるんじゃないか」と、企業組合「鏡野やま弁倶楽部 ののもん」の藤木宏史さんらとともに管理を担って10年目を迎えます。

リンゴのような香りと食感

見た目は姫リンゴのような小玉。熟れると外皮は黄色や紫色、黒、赤に、実は白や黄色、赤などに色づきます。5月の終わりから6月の始めぐらいまでに花が咲き、7月頃になると熟れるので、木を揺らして枝からバラバラと落ちてきた実を下で受けるという原始的な方法で収穫します。そして、収穫した酢梅に塩をたっぷりまぶして漬け、8月にはきれいに洗って天日で干すのだそうです。「塩漬けの酢梅を戻して甘煮にすると、種がツルッとむけて食べやすいんですよ」と藤木さん。クエン酸が豊富なので、夏の熱い時期には重宝するのだそう。食べきれない分は翌年の正月頃まで袋に入れて保存し、また夏になると漬けるという保存食として食べられてきました。「枝のせん定や下草刈り程度しか手入れがいらないので栽培は楽なんですが、木によって熟す時期が異なるため、収穫して選別するのに手間がかかる程度ですね」と話します。

木成りの完熟酢梅だけを生で提供

大塚さんと藤木さんとは、都窪郡早島町の「コンベックス岡山」で毎年開催される「しんきんビジネスマッチング」で出合いました。藤木さんが作った酢梅のジャムを、大塚さんが試食してみて「これはおいしい」と興味を持ったのだそう。「何かスウィーツに使えないものか」と考えたそうですが、酢梅の生産量が少なく日持ちせず、1日経つともう商品価値がなくなるのだそう。「木で熟れたものを収穫してすぐに食べると美味しいんですが、かといってまだ青いのも美味しくないですしね。収穫したその日に『道の駅』などで販売してもらっても、売れ残るともうたべられない。冷凍すれば1年は持つものの、加工品として安定しづらい性質なので、塩漬けや甘煮にする以外の活用法は、あまりこれまで考えられてきませんでした。

酢梅の味わい伝える加工品作りを

酢梅を試食した大塚さんも、世話人の藤木さんたちが守り続けている酢梅を何とか加工品にできないかと頭をひねっています。「種を取ってミキサーにかけるととてもきれいな紫色になるので、コンフィチュールのように煮てヨーグルトに混ぜてはどうか?」とか「きれいに洗ってチョコレートコーティングしてみては?」など加工方法のアイデアを提案している最中だそう。
生果で1週間程度しかおいしさが保てないことや、品種がさまざまに混在していることから、一定の性質の実を採集して試作できるようになれば、可能性があると話す大塚さん。「まずは、生果で味わってもらうことで、知られざる『酢梅』の存在を全国の人たちに知ってもらい、新たな特産品としてPRしていきたい。そして、ゆくゆくはワカナのスウィーツにも加工して使えるようになれば」と意欲を見せています。

WAKANA SELECTION

酢梅を使ったわかなの商品

「ただいま商品開発中」おたのしみに!

  1. シリーズ

    「パティシエが行く」〜旬素材を求めて農園へ〜

  2. 八重桜の塩漬け

  3. 木成り熟成フルーツトマト

  4. 日本鶏へのこだわり

  5. 津山産小麦

  6. いちご

  7. ブルーベリー

  8. 大玉の清水白桃

  9. 酵素で育つピオーネ

  10. 幻の酢梅

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